暴君のシェフ 第9話 あらすじネタバレ|圧力オゴルゲタンと“勝利ののち、冤罪”

暴君のシェフ

封じられた献立が、宮廷の序列を静かに崩す。

勝ち筋は、道具と工程で作る——それでも政治は容赦がない。
第9話は対外“料理競演”の最終ラウンド決着から一転、冤罪と投獄へ急降下。圧力鍋で引き出した一杯の誠意が勝利を呼び込み、直後に政争の刃がジヨンを襲います。

🎬 あらすじ(ネタバレあり)

出典:tvN公式

競演は第2ラウンドの採点が僅差の同点で終わり、勝敗は最終ラウンドへ委ねられる。会場の空気が張り詰めるなか、王イ・ホン(이헌/イホン)は「三戦すべて引き分けなら明の勝利」という条件を改めて告げ、審級の厳格さを示す。ヨン・ジヨン(연지영/ヨン・ジヨン)は水刺間(수라간/スラガン)の同僚と目配せし、特注の加圧鍋を搬入。テーマ「高麗人参のスープ」に対し、彼女は**烏骨鶏湯(オゴルゲタン)**で勝負することを宣言する。

仕込みは“加圧→減圧→追い抽出”の三相で進む。骨の髄を引き出す初段で鍋の安全弁が軋み、周囲は不安げにざわつくが、ジヨンは火を微調整して圧を安定化。減圧後の澄んだ湯面に浮く脂を丁寧にすくい、人参・なつめ・にんにくの香りを静かに重ねる。水刺間の面々は盆の温度や椀口の温めまで段取りし、一口目の湯気が最良になるよう時刻合わせを行う。やがて供膳。明側の長老格・唐白龍は匙を止め、わずかに頷く。王は香りを吸い込み、一口で眼差しをやわらげる。筆が走り、審級の票は朝鮮側に傾く。結果は朝鮮の勝利。引き分け続きの条件を破り、工程の設計がついに“点”になった瞬間だった。

歓声の余韻が残る控室に急報が入る。真明大君が席で倒れ、毒殺未遂の疑いが上がったという。騒然とする会場。水刺間の動線に“怪しい瓶”が置かれていたとする証言が現れ、矛先は大領熟手であるジヨンに向く。王は動揺を押し隠して現場検証を命じるが、慈賢大妃は「王権の威を守るため迅速な断罪が必要」と圧をかけ、取り調べ(拷問)→投獄が性急に決まってしまう。ジヨンは連行される途中、振り返って水刺間に「工程を信じて」とだけ残し、無言で頷く仲間の視線に送られて闇へ消える。

明側にも余波が走る。先の辣油と唐辛子粉の不正転用を巡る内紛が再燃し、唐白龍は「料理に向き合う者の誠意」として朝鮮側の潔白を示唆するが、使節団の一部は外交上の勝ち筋を優先し口を閉ざす。水刺間ではオム・ボンシクとメン・マンスが搬入・搬出の時系列、倉口の見取り図、証言の矛盾を洗い直す。ギルグムは**望雲録(망운록/マンウンノク)**の所在と“蝶のノリゲ”の購入記録にまで手を伸ばし、冤罪の仕込みに外部勢力が関与した可能性を示す断片を拾う。

王は“審級者”としての中立を守りながら、密かに救出の段取りを開始する。まずは証拠となり得る廃油壺と香辛料の瓶を封緘し、近衛の中から信頼できる者を選んで保全。さらに大妃の側近が握る取り調べ帳簿の写しを入手するよう密命を下す。夜、獄舎に面会を求める王に、大妃は「大領熟手を公女として差し出せ」という屈辱的な取引をにおわせる。王は沈黙で退きつつも、その場で反撃の工程表を頭に描き直す。

獄内。ジヨンは荒い呼吸の合間に、圧と温度と時間の配列を書き起こすように壁を指でなぞる。料理で構築した“誠意の論理”が、政治の暴力で踏みにじられる現実に歯を食いしばりながら、彼女は自分の一皿が動かした心(審級の眼差し、長老の頷き)を確かに思い返す。最後に差し込むのは、暗闇に浮かぶ封緘された証拠瓶の映像。物語は、勝利から冤罪へと急降下したまま、真相の逆算救出の段取りが同時に走り出す地点で幕を下ろす。

👥 登場人物の動きと関係性(第9話のみ)

王 イ・ホン(이헌/イホン)

競演では公正な審級と勝利の裁定を下す一方、冤罪で拘束されたジヨンの救済に向けて静かに動く。公正と情を両立させる重責に立つ。

ヨン・ジヨン(연지영/ヨン・ジヨン)

圧力×工程設計でオゴルゲタンを完成させ勝利を掴むも、直後に毒殺未遂の濡れ衣で投獄。料理の誠意が、政治の暴力に踏みにじられる。

慈賢大妃/済山大君(推進役)

勝利直後の隙を突き、冤罪フレームを強行。王権と水刺間の結束を断ち切ろうとする。

明側(唐白龍 ほか)

競演の決着を受け入れつつ、不正転用の後始末に揺れる。長老格はジヨンの一杯に一定の敬意を示す。

🎯 名シーンと印象的なセリフ(要旨・名台詞/厳選)

  • 工程は、食べる人への誠意だ」——圧力鍋での抽出設計を語る芯の言葉。(ヨン・ジヨン)
  • 審級は情ではなく理で下す」——勝利の裁定に込められた王の覚悟。(イ・ホン)
  • 大領熟手を“公女”として差し出せ」——競演の外で放たれる政治の圧力。(宮廷内の強硬派)

🍳 料理のガチ解説

※以下は料理技法の専門解説です。劇中の料理要素と工程は一次情報・主要レキャップで確認済みであり、記載の数値・手順は再現のための一般的な料理理論および衛生ガイドラインに基づきます。

対象エピソードと料理

エピソード:第9話
主料理:圧力オゴルゲタン(烏骨鶏湯/Silkie Chicken Soup)
副テーマ:**澄ませ(クリア)半白濁(コク重視)**の分岐設計/審級対応の“最初の一口”最適化


オゴルゲタン(圧力調理プロトコル)

01 コンセプト/味設計

  • 狙い:短時間で骨由来のゼラチン+滋味を抽出し、香り・温度・口当たりを同期。
  • 骨格:鶏(烏骨鶏)ベース+人参・なつめ・にんにくの三点で“甘香”。塩分は**0.6〜0.8%**で上澄みの美味しさを引き立てる。
  • 審級一口設計:湯気(>80℃)→香り→口当たり(ゼラチンの“薄いヴェール”)の順で立ち上げる。

02 標準配合(4椀=2〜3人前)

  • 烏骨鶏(丸・内臓除去)900〜1,200g(通常の若鶏でも可)
  • もち米 80〜100g(洗って2〜3時間浸水→水切り)
  • 乾燥高麗人参 15〜20g(または生10〜15g・厚め斜め切り1〜2片)
  • なつめ 4〜6個/にんにく 6片/生姜薄切り 3〜4枚
  • 長ねぎ(青い部分)少量/水 1.5〜1.7L
  • 塩(仕上げで全体0.6〜0.8%)/白胡椒 少々
  • 〈任意〉栗(皮むき)4個、クコの実 少量

03 下処理(臭み・濁り対策)

  1. ブランチング:鶏を沸騰湯に20〜30秒くぐらせ→冷水で洗い、血・骨粉を除去。
  2. 腹詰め:もち米+にんにく2片+なつめ2個を腹に入れ、綿糸で脚を縛る(米の吹き出し防止)。
  3. 薬味準備:人参は厚切り1〜2片(粉砕しない。苦味を避ける)、生姜・ねぎは香り移し用。

04 抽出プロトコル(三相:加圧→減圧→整え)

Phase A|加圧抽出(骨格を作る)

  • 圧力鍋に鶏・水・ねぎ青・生姜・にんにく・残りのなつめを入れる。
  • 高圧 12〜15 psi(約115〜121℃)で 18〜22分
  • 火を止め、自然放圧10〜15分(急放圧は濁りの原因)。

Phase B|脱脂・香味統合

  • 蓋を開け、浮いた脂と灰汁を静かに除去
  • 高麗人参(+栗)を加え、弱火(常圧)10〜12分。強沸騰は避ける。
  • もち米の火通りを確認(芯なし)。

Phase C|仕上げ・休ませ

  • 80〜85℃で20〜30分保温(味の一体化・口当たりの丸み)。
  • 塩で**0.6〜0.8%**に合わせ、白胡椒で輪郭を微調整。

05 仕立て分岐(澄ませ/半白濁)

  • 澄ませ(審級向けの透明感):Phase A後の自然放圧を徹底、撹拌禁止。Phase B〜Cは微湯気維持。提供前に脂分離器で上脂を調整。
  • 半白濁(コク寄せ):Phase Bの終盤ごく弱い微沸騰 3〜5分で軽い乳化を促進。脂はやや残す。

06 提供・盛り

  • 椀は70℃以上で予熱
  • 鶏は関節で分け、骨際の中心74℃以上を確認。
  • 汁 180〜200ml/椀、薬味はねぎ→クコの順で香りを立てる。最初の一口が湯気と香りを伴う温度帯に。

07 トラブルシューティング

  • 濁る:急放圧/強沸騰。→自然放圧、火力を落として“微湯気”。
  • 薄い:水過多/時間不足。→Phase A +3〜5分、または蓋開け還元
  • 苦い:人参の過抽出。→投入をPhase Bから、量を10–15gに。
  • 皮が崩れる:過加圧。→圧力・時間を**-2〜3分**、ブランチング短縮。
  • 米が漏れる:脚縛り不足。→糸を二重に、腹口を竹串+糸で固定。

08 バリエーション/代替

  • 鶏種:烏骨鶏が無ければ若鶏1.1〜1.3kgで代替(Phase A +2〜3分)。
  • 詰め物軽量化:もち米を50gに減らし、スープ比重を軽く。
  • 穀香の補強:仕上げにもち米の煮汁 20〜30mlを加え“口当たりのヴェール”を厚く。

09 衛生・保存

  • 鶏の中心74℃以上必達。
  • 2時間以内に10℃以下へ急冷→4℃で保存。2〜3日目安。再加熱は75℃以上
  • 高麗人参など生薬は食品用途の少量に留める(体調により摂取可否が異なるため)。

🌟 感想・考察

第9話は、工程設計が“味の説得力”をつくり、政治がそれを踏みにじる——という二重の緊張を正面から描きました。圧力を使った短走抽出で骨と薬味を統合する一杯は、これまでの準備(特注鍋の試作、段取りの微調整)の集大成。ジヨンの料理が審級の舌と筆を止める瞬間は、技術が感情を動かすという本作の主題を最も端的に示しています。

一方で、勝利の余韻を“冤罪”で断ち切る構図は容赦がありません。王はジャッジとしての理と、ひとりの人間としての情を両立させようとするが、制度と権力は往々にして個の誠意を押し潰す。だからこそ、彼が静かに反撃の段取りを組み始める流れに希望が灯ります。料理が人を動かし、政治が人を追い詰める。その落差が第9話の強度を生んでいました。

📂 まとめ

圧力鍋で引いた一杯は、素材の差を工程で覆すという作品の核を勝利という形で証明しました。それでも物語は“味が正しければ世界が正しくなる”とは言ってくれない。冤罪と投獄の急降下は、次回以降の政治線を大きく駆動させ、王とジヨンの“守る・救う”物語へ舵を切らせます。

次話は、誠意を守るための制度との対峙が主題になるはずです。望雲録の行方、辣油・唐辛子粉の不正の真相、そして王の反撃の段取り。料理で勝ち、政治で取り戻す——その二段構えがいよいよ試されます。

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