暴君のシェフ 第3話 あらすじネタバレ|「Haute Cuisine(オート・キュイジーヌ)」で鹿の三皿——王の専属「大令熟手(대령숙수(テリョンスクス))」

暴君のシェフ

従順か反逆か――味で答えを示すシェフの挑戦。

第3話のコース名は「Haute Cuisine(オート・キュイジーヌ)」。隠し牢から外へ出されたヨン・ジヨンは、若き王イ・ホンの前で鹿を核にしたフレンチ三皿を即興で組み立てる。王は未知のオート・キュイジーヌに強く反応し、ジヨンを新たな「大令熟手(대령숙수(テリョンスクス))」に任命。ただし「二度と同じ料理を出すな」「口に合わなければ斬る」という冷酷な条件は続行だ。

あらすじ(ネタバレあり)

出典:tvN公式

王イ・ホンの矢傷は侍医により処置が進み、体内に残った矢じりが抜かれる。側室カン・モクジュはその矢じりを密かに持ち去り、王の周囲に疑心を撒く駒として利用しようと動く。王は出血を止めた“未知の軟膏”がヨン・ジヨンの手によるものだと知り、彼女が命を救った事実だけは心に留める。

ジヨンとギルグムは“特別居所”と称した宮中の隠し牢に繋がれるが、ある夜、覆面の案内で外へ。解放ではなく、王自らが仕掛けた見世物で、道化の芸に紛れて二人の反応を試す余興だった。王はギルグムへの焼き印を仄めかしてジヨンを屈服させ、「今すぐ料理を作れ」と命じる。

宮中厨房・水刺間(수라간(スラッカン))に通されたジヨンは、「女が王の膳を担うのは前代未聞」という偏見から、男料理人たちの集団離脱に直面する。怯まず厨房を掌握した彼女は、王の狩りの獲物である鹿を主素材に、前菜→温皿→メイン(鹿ステーキ)の三皿を即興設計。入口は強い焼き香(メイラード)、中心は温度管理と“休ませ”で肉汁を守り、まとめは赤ワインの還元にモンテ・バター(Monter au Beurre(モンテ・オ・ブール))を重ねる——クラシックの王道で“重すぎない濃厚”に着地させる。

供された一口は王の幼い記憶を揺らし、入室しようとしたモクジュを王自ら制するほどに彼の心を動かす。御前では、王がジヨンを「大令熟手(대령숙수(テリョンスクス))」に正式任命。ただし条件は苛烈で、「同じ料理を二度と出すな。口に合わなければその場で斬る」という絶対命令が重ねて通告される。

一方のモクジュは嫉妬と警戒を露わにし、大王大妃(대왕대비(テワンテビ))を抱き込んで“料理比べ”を提案する。敗者は片腕を落とすという非道な罰まで掲げ、宮中の空気は一気に刺々しくなる。王は不公平を逆手に取り、「条件は全員同じだ」と宣言して勝負の緊張をさらに引き上げる。男料理人たちの妨害めいた空気が漂う中でも、ジヨンは「王の口に入る最終責任はあなたたちにある」と場を締め直し、厨房の規律を取り戻していく。

夜更け、与えられた部屋で息を整えながら、ジヨンは“同じ料理は禁止”という絶対条件と、命懸けの料理比べという新たな試練を並行して抱えたまま、次の一皿の設計図を頭の中に広げる。第3話は、Haute Cuisine(オート・キュイジーヌ)で王の心を動かし、「大令熟手(대령숙수(テリョンスクス))」として中枢へ躍り出た彼女が、より苛烈な舞台へ踏み込むところで幕を閉じる。

登場人物の動き

  • ヨン・ジヨン:男料理人のボイコットを結果(味)で突破。鹿の三皿で王を翻意させ、「大令熟手(대령숙수(テリョンスクス))」に就任。以後は「同じ料理禁止/不味ければ斬首」の絶対条件下で戦う。
  • イ・ホン(王):初体験のオート・キュイジーヌに反応。任命と脅しを同時に与える二面性が鮮明に。味が記憶へ触れた瞬間に弱さがのぞく。
  • カン・モクジュ:嫉妬と権謀を前面に。大王大妃(대왕대비(テワンテビ))を動かして“料理比べ”をセット。
  • ギルグム:敵意に満ちた水刺間でジヨンを補助し、宮中の空気を体で学ぶ。

名シーンと台詞

  • 「朕はお前に決めた(과인은 너로 정했다(クァインウン ノロ チョンヘッタ))」——人事の決断を短い言葉で突きつける名フレーズ。
  • 王の“記憶が揺れる一口”——料理と記憶が直結するシリーズの核演出。

料理テク“ガチ”解説:鹿(Venison(ヴェニソン))ステーキで組む三皿

第3話(鹿の三皿)
※以下は料理技法の専門解説。劇中描写(鹿肉の三皿=焼き→休ませ→赤ワイン還元ソース)は一次情報・主要レキャップで確認済み。中心温度・安全基準は公的ガイドラインと現場理論に基づきます。

劇中で描かれた要点

  • 主素材:鹿(王の狩猟の獲物)
  • スタイル:フレンチの三皿構成。メインは鹿ステーキ
  • 狙い:初体験のオート・キュイジーヌ(Haute Cuisine)で、王の記憶と感情に届く味を作る

1) 下準備(前日〜当日)

  • 部位と規格:背肉または内腿、厚み30〜40mm、200〜230g × 2枚
  • 下味:塩1.2%(肉重量×0.012)、黒胡椒適量を前日に振る
  • 乾燥:ラップなし(Uncovered(アンカバード))で冷蔵12〜24時間。表面を乾かし焼き色の乗りを良くする
  • 室温戻し:焼く30〜45分前に冷蔵庫から出し、中心温度の勾配を緩和
  • 香味の用意:エシャロット30g、無塩バター50g、にんにく1片、タイム(Thyme(タイム))小枝2

安全メモ:野生由来の鹿は寄生虫・細菌のリスクに配慮し、ホールカットは中心63℃以上、挽き肉や内臓は71℃以上を推奨。来歴が不明な場合は官能より安全を優先。

2) 火入れ(ステーキ)

  • 器具:厚手フライパン(Carbon steel(カーボン・スチール)または Cast iron(キャスト・アイアン))
  • 手順
    1. 強火で十分に予熱し、無味無臭の油を薄く敷く
    2. 表面を高温短時間で焼く(片面90秒→返して60秒が目安)
    3. バター、つぶしにんにく、タイムを加え、Baste(ベイスト)/Arroser(アロゼ)で30〜45秒香りをのせる
    4. 家庭ならオーブン160℃で3〜6分の仕上げを挟み、狙いの中心温度に到達させる
    5. アルミをふんわり掛けて5〜7分休ませ(Resting(レスティング))。ドリップの再分配でジューシーに
  • 代替法:Reverse sear(リバース・シア)
    1. オーブン120℃で中心48〜50℃までゆっくり上げる
    2. 強火のフライパンで各面30〜45秒だけ焼き付け、短時間休ませる
    3. 安全寄りにするなら低温段階を中心58〜60℃まで上げる

目安中心温度:官能重視は50〜55℃域、安全重視は63℃以上。

3) ソース(赤ワインのリダクション)

  • 材料:エシャロット30g、赤ワイン180ml、フォンドヴォー(またはブイヨン)120ml、バルサミコ5ml、赤スグリのジェリー(Redcurrant jelly(レッドカラント・ジェリー))小さじ2、冷えたバター20g
  • 手順
    1. 焼き脂を少量残し、エシャロットを弱火で汗かき
    2. 赤ワインで Deglaze(デグラッセ)し、強火で約半量まで還元(Reduction(リダクション))
    3. フォンを加えて再び半量〜3分の1量まで煮詰める
    4. バルサミコと赤スグリで酸甘を整える
    5. 火を止め、Monter au Beurre(モンテ・オ・ブール)で乳化と艶を出す
    6. 塩・胡椒は控えめに。肉と合わせて重くならない密度に保つ

4) 盛り付けと三皿設計のコツ

  • 前菜:鹿端材のリエット(Rillettes(リエット))またはタルタル(Tartare(タルタル))。生食は衛生管理が難しいため、軽くコンフィしてから和えると安全
  • 温皿:森の茸のフリカッセ(Fricassée(フリカッセ))に小さな半熟卵を添え、メインの脂と香りを受け止める
  • メイン:鹿ステーキ+セロリアックのピュレ、根菜のグラッセ(Glacer(グラセ))

風味設計の指針:焼きのナッツ香、ワイン還元の酸甘、ハーブと乳脂の余韻で、濃厚だが重すぎないレンジへ。

5) よくあるNGと回避策

  • 過火でパサつく:温度計で中心温度を管理し、休ませを省かない
  • 鉄臭・野性味が立つ:表面を高温短時間でしっかりメイラードさせ、バルサミコや赤スグリの酸甘で輪郭づけ
  • 安全基準の誤解:野生由来は高めの到達温度が推奨。食材の来歴に応じて安全を最優先にする

簡易タイムライン(2人分)

  • 前日:塩1.2%で下味を付け、ラップなしで冷蔵乾燥
  • 当日 T–60分:室温戻し、ピュレやガルニの仕込み
  • T–15分:焼きの工程開始、同時進行でワイン還元
  • T–5分:アロゼ→オーブン仕上げ→休ませ
  • T–1分:ソースをモンテ、カットして盛り付け、供出

家庭向けの置き換え

  • 鹿の入手が難しい場合:牛ランプやシンタマで同手順(中心55〜57℃)
  • 赤スグリなし:カシスジャム少量+レモン汁で代用
  • フォンなし:焼き汁+水+市販ブイヨン少量で薄めに作り、塩は最小限

一口の設計(理想の流れ)

焼き香が立ち、温かな肉汁が広がり、ワインの果皮香と酸甘が立ち上がって、最後にバターとハーブの余韻が残る。およそ七〜九秒で一巡する設計が、物語上の“王の舌”にも合致します。

感想・考察

厨房のジェンダーバイアスを結果=味で乗り越えていく構図が鮮明で、見ごたえがありました。鹿(ヴェニソン)を核にした三皿は、焼きの香り、温度管理と“休ませ”、還元ソースという古典の要点を正しく押さえており、王の“記憶”へ安全に届く設計だと感じます。「Haute Cuisine(オート・キュイジーヌ)」という初体験に対する王の反応も、人物像に厚みを与えていました。一方で、任命と脅しを同時に与える王の態度は緊張を途切れさせず、物語の推進力になっていると受け取りました。「同じ料理は禁止」という縛りは、ストーリーと料理描写の双方に創作の圧をかけ、次回の“料理比べ”への期待と不安を自然に高めているように思います。カン・モクジュと大王大妃(대왕대비(テワンテビ))の動きも、宮中政治の温度を一段上げる役割を果たしていました。

まとめ

味で役職を勝ち取る回だったといえます。ヨン・ジヨンは「大令熟手(대령숙수(テリョンスクス))」に就任し、中心人物として立ち位置を固めましたが、同時に“料理比べ”という高いハードルが設定されました。料理が唯一の言語であり続ける世界で、彼女が次にどのような一皿を提示するのか、期待が高まります。

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