ひとつの終わりと、新しい始まり――父の背中に託した想い
第14話では、ウンミョンの逮捕という衝撃の事件から、家族それぞれが人生の底を味わいながらも、新たな希望へと踏み出していく姿が描かれます。失われた船、断ち切れぬ劣等感、親の愛、そして詩への回帰。家族が背負ってきた重荷が噴き出す中で、再生の兆しが見え始める感動回です。※ネタバレを含みますのでご注意ください。
🎬 あらすじ(ネタバレあり)

ウンミョンが友人チョリョンと経営していた質店が、突如として破綻した。原因はチョリョンが預けられていた品物を勝手に持ち逃げし、責任をウンミョンひとりに押しつけたことにあった。警察に呼ばれたウンミョンはそのまま拘留され、家族に衝撃が走る。
留置場で面会に訪れた母エスンに対し、ウンミョンは感情を抑えきれずに告げる。「父さんが俺に何をしてくれた?姉さんには“お前ならうまくやれる”って言ってたくせに。俺にも目を向けてほしかったんだ……」。彼の言葉には、幼い頃から姉クムミョンに抱いていた劣等感と、父に対する抑えきれない感情がにじんでいた。
父グァンシクは、息子の服役を避けるために苦渋の決断を下す。20年乗り続けてきた漁船“クムウンドン号”を売り払い、その金で示談金を用意したのである。その船は家族の記憶が詰まった象徴でもあり、失うにはあまりにも大きすぎる代償だった。
生活の糧を失ったグァンシクは、倉庫で氷を運ぶバイトを始める。エスンもまた、市場でイカを捌いて生計を支え始めた。魚も船もない日々の中で、それでも家族を守ろうとする二人の姿は切実で、どこか凛としていた。
一方、釈放されたウンミョンは、前科があるという理由でどこにも雇ってもらえず、餅を売って歩く仕事を始めた。だが、父グァンシクが密かに近所の人々に金を配り、餅を買ってもらうように頼んでいたことを知ると、彼の中に積もっていた自尊心が崩れ落ちる。「情けない」と自らを責めたウンミョンは、父のように生きたいと願いながら、黙って遠洋漁船へと乗り込んでしまう。
息子がまた海へ出たと聞いたエスンは、「海はダメ」と取り乱す。幼くして亡くしたドンミョンの記憶が脳裏をよぎったのだった。グァンシクは旧友サンギルに助けを求め、船長に倍額を払ってでも引き返すよう懇願。遠洋漁船は港へ戻され、ウンミョンは無事に帰ってくる。
再び戻ってきた息子に、エスンは何も言わずただ抱きしめた。グァンシクは何も語らなかったが、その背中には父としての愛情と不器用な誇りがにじんでいた。
その後、ウンミョンは氷屋に雇われ、地道に働き始める。エスンは娘クムミョンからもらった手帳を取り出し、再び詩を書き始めた。かつて文学を夢見た少女の心が、年齢を重ねた今なお脈打っていた。
クムミョンは家族の現実に向き合いながらも、未来を見据えた新たなビジネスの構想を練る日々を送っていた。エスンは言う。「猫もジャンプの前は身体を小さくする。今が一番小さいなら、きっとこれから高く跳べるわね」。失うものが多かったぶん、再出発の気配が静かに芽吹き始めていた。
👥 登場人物の動きと関係性
- ヤン・ウンミョン:質店破綻により逮捕され、劣等感を吐露。釈放後、遠洋漁船に逃避行するも連れ戻され、氷屋に就職。
- オ・エスン:イカを捌いて家計を支える。息子を抱きしめ再出発。再び詩を書き始める。
- ヤン・グァンシク:20年の愛船を手放して息子を救い、氷運びのバイトで生活を支える。
- クムミョン:新たなビジネスを模索中。家族の再生と並行して、自分の道を考え始める。
- プ・サンギル:旧友としてグァンシクを支援。遠洋漁船からの引き戻しに尽力。
- ヨンナン:ミカン畑を受け継ぎ、新たな人生を歩み出す。
- ヒョンスク:ウンミョンを心配し、父サンギルに助けを求める。
🎯 名シーンと印象的なセリフ
- ウンミョンの叫び:
>「えこひいきよりは、いっそ愛されないほうがずっとマシだ。心の傷になる」 - 船を売った父グァンシクに:
>「なぜ船を売った。俺なんかのために」
>「お前が一番だから売ったの」
- エスンの願い:
>「お願い。ウンミョンを捜して。捜してくれなかったら、死んでやる」 - 氷屋の社長の言葉:
>「お前が“名馬の子”だからだ。名馬には高い値がつく。だが、その子供にはもっと価値がある」 - エスンの決意:
>「母さんは、何でもやるわ」
🌟 感想・考察
父グァンシクが船を売ってまで息子を救おうとする姿。あれは「言葉ではない愛情」の象徴だったと思います。そして、それに気づいたウンミョンの「みじめさ」も、また人間らしくて切ない。
エスンが詩を書き始めるくだりも象徴的でした。かつて夢見た詩人への道が、いま家族の困難のなかで再び開かれようとしている。人生のどん底にこそ、再生の芽がある――そんな希望を感じさせてくれます。
📂 まとめ
家族の絆が試され、再確認される濃密な回でした。ウンミョンの痛み、グァンシクの犠牲、エスンの強さ――すべてが胸に迫ってきます。
だけど、絶望だけじゃない。詩を書くことを再開するエスン、氷屋で働き始めるウンミョン、新たな挑戦を考えるクムミョン…。皆が少しずつ前を向き始めていました。次回、彼らはどんな一歩を踏み出すのでしょうか。
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