📝 試される誓い ― 光と影の分岐点
ギョヌに“霊眼”が開くことで日常が崩れ始め、学園と怪異が真正面から衝突する回です。アーチェリー大会の優勝という朗報の裏で、校内では“自殺鬼”案件が進行。ソンアは救出の最前線に立ちますが、その流血が思わぬ副作用を呼び、ギョヌの中の“ボンス”の侵食**が一段と進みます。甘さと恐怖が入れ替わるテンポで、シリーズ中盤の山場に相応しい密度でした。
🎬 あらすじ(ネタバレあり)

前話の余波でギョヌは幽霊を視認できるようになり、朝の登校だけで疲労が滲む。廊下の角に人影が張りつき、階段の踊り場で風もないのに紙片が逆流する。彼は“いつも通り”を装うが、指先は冷えていた。
アーチェリー会場。練習ラインに立つたび、視界の端に幽影が滲む。弦を引く瞬間だけ呼吸を切り、標的だけを見る——その訓練が、今は見たくないものを切り捨てる術になっていた。一本目はわずかに外れ、二本目で修正、三本目でど真ん中。歓声が上がる。
同じ時間、校内ではモ・ボムに“自殺鬼”が寄り添う。ソンアは保健室から連絡を受け、ひとり走る。教室で彼女は、机の下にかがみ込んだボムに小声で話しかけ、**「いまはまだ帰らないで」**と手を差し出す。ボムの指が揺れ、護符が触れた瞬間、窓際でガラスが軋む。押し返した反動で、ソンアの掌に切り傷が走る。
午後、決勝ラウンド。ギョヌは金メダルを確定させるが、表彰の列でふと視線が泳ぐ。壇下に“何か”が立ち、口だけが笑っている。彼は反射的にソンアの手を探し、握る。手の温度が戻った時間だけ、ノイズがすっと退く。
夜——ソンアは**「手を離さない」と決め、ギョヌの部屋で一晩の封じに入る。外では結界がきしみ、遠くで犬が吠える。ソンアが素の声で「ギョヌ」と呼ぶたび、まぶたの奥で光が揺れ、彼は短い“正気”を返す。だが、戻る幅が前より狭い。昼間の切り傷が“代償”**として効いているのを、ソンアは嫌でも実感する。
明け方、ドンチョンが状況を言葉にする。「守る手が弱れば、向こうはよく食う」。ソンアの脳裏に、ボムの微かな笑顔と自分の掌の血が重なる。扉の向こうで風が止み、空気の密度が変わった瞬間、短い一言が落ちる。
「——ボンスが、ギョヌを食った」。
ソンアは指を強く絡め、次の一手を考える。誰にも聞こえない声で、「まだ終わっていない」と。
👥 登場人物の動き
- ソンア(チョ・イヒョン)
校内の“自殺鬼”救出で最前線に立ち、流血という代償を払う。夜は**“手つなぎ”封じ**でギョヌを引き戻すが、戻る幅の縮小を肌で感じる。 - ギョヌ(チュ・ヨンウ)
霊眼が開き、幽霊を視認。アーチェリーでは優勝をつかむ一方、内側でボンスの侵食が進む二重生活に。 - ボンス
からかい混じりの軽さの裏で、ソンアの弱りを好機と見て深層へ侵入。静かに“食う”段階へ。 - ヨムファ
過去の傷を抱えたまま外部干渉を強める。直接対決は最小限でも、場の不安定化に寄与。 - ジホ
実務的サポートと安全確保に奔走。大会でも持ち場を守りつつ、二人の“守り”を裏方で支える。 - モ・ボム(生徒)
いじめの渦中で自殺鬼に狙われる。事件が**“血を流すな”**の暗黙ルールを炙り出す契機に。
🎯 名シーン/印象的な要素
- “見える主人公”の恐怖演出:視界の端の幽影、音の遅延、汗ばんだ弓手。
- 金メダルのほろ苦さ:勝利の直後に深まる憑依という配置。
- 手の温度の攻防:指を絡めた一瞬だけ静まるノイズ——守りの条件は合意と触覚。
🌟 感想・考察
「力の源=合意と温度」という本作の根幹を、よりシビアな条件で再提示してきましたね。勝利(優勝)の高揚感と、視えることの冷たい現実を同じフレームに収める編集が巧みで、観ていて胸が締め付けられました。
また、“血を流すな”**という暗黙のセーフティが、ここで初めて“代償”として明確に機能しました。守る側が弱った瞬間に侵食が進む——世界観のルールが、恋と怪異の両面で説得力を持ち始めています。
📂 まとめ
“見える”段階に入ったギョヌと、流血の代償を払ったソンア。金メダルの歓声の裏で、二人はさらに綱渡りを強いられます。次回は、どこまでが可逆で、何を差し出せば取り戻せるのか——この一点に注目して追いたいところです。
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