📝 最後の選択 ― 託された未来と代償
霊母の死の直後から始まり、ソンアがボンスを抱えたまま姿を消したことで、ふたりの関係が時間と距離に引き裂かれていく回です。ギョヌは手がかりを求めてお札付きの矢で霊に当たり、夢と現実の境目をさまよい続けます。視聴率は**全国約4.7%**で堅調推移(ニールセン/報道ベース)。
🎬 あらすじ(ネタバレあり)

霊母が倒れた夜、ヨムファは刃のような視線で窓の外へ走ろうとする。ソンアは腕を掴み、「お母さんはあなたを守って逝った。私が引き継ぐ」と静かに言う。怒りは鎮まらないが、ヨムファは足を止める。
入れ替わるように、ギョヌの前に“夢のデート”が訪れる。季節外れの屋台、よく知る路地、ぎこちない笑い。別れの気配を悟っているのは二人ともだ。キスのあと、ギョヌはふっと意識を落とし、目覚めた時には彼女はいない。ソンアはボンスを抱えて去った——卒業までに戻るという言葉だけが置き土産だ。
日々は進み、一年が空く。ギョヌは夜ごと山に入り、お札を番えた矢で霊に問いかける。フラワーマスターのもとを何度も訪ね、夢に残る**「空の教室」**の感覚を反芻する。彼の家にはジホが半ば住みつき、欠けたままの日常を支える。
ある日、寺の境内で**“ソンア”**に肩を掴まれ、ギョヌは振り向く。**キス。次の瞬間、「ソンアじゃない」と笑ってみせる。中身はボンス——“ボンソン”。ふざけながらも、彼(彼女)は「器にひびが入ってきた」**と告げる。抱え込んだままでは、ソンアが壊れる。
“ソンア(の姿)”がギョヌの家に来ると、クラスメイトたちが自然に集まってくる。テーブルにお菓子が並び、他愛ない会話が続く。輪の中心で、ボンスが泣く。本当は自分ではない誰かがここに座るべきだと、初めて認めるように。
夜、ギョヌは夢の層へ踏み込み、空の教室でソンアを呼ぶ。遠くで扉が軋む音がして、輪郭が揺れる。“彼女の顔”で近づくボンスの気配を残したまま、現実のほうから朝がやって来る。再会は叶わず、器のきしみと一年の空白だけが濃くなっていく。
——第11話はここで止まる。**夢は手がかりだが、まだ帰り道ではない。**次へ進むには、顔ではなく中身を、名前ではなく記憶を取り戻す必要がある。
👥 登場人物の動きと関係性
- ソンア(チョ・イヒョン)
霊母の死後、ボンスを自分に抱えたまま失踪。夢ではギョヌに別れの気配を残し、現実では“ボンソン”として現れる場面が混在する。 - ギョヌ(チュ・ヨンウ)
**お札矢で霊を追う“探索モード”**に。夢と現実の端でソンアの痕跡を追い、ついに“顔だけソンア”と再会するも正体に気づく。 - ボンス
ソンアの器を使い**“ボンソン”**として登場。軽やかな悪戯の背後に、器の劣化(ひび)と居場所への渇望が見える。 - ヨムファ(チュ・ジャヒョン)
憎悪から出発しつつも、**「ソンアを殺せば祓える」**という短絡と向き合い、選び直しを迫られる。 - ジホ(チャ・ガンユン)
“ボンソン”の仮面をいち早く見抜く。ギョヌの生活を支えつつ、戻らない一年の重さを背負う親友。 - 花堂の長(フラワーマスター)
夢の手がかりを示す媒介役。ギョヌの“無茶”を止めつつ、探索ルートを整える。
🎯 名シーンと印象的な要素
- “夢のデート”の余韻:別れの気配を纏ったキスが、その後の一年の空白を照らす。
- “ボンソン”のキス→種明かし:顔は彼女、中身は異物——擬態の不気味さと俳優の演じ分けが際立つ。
- 友人たちの来訪で涙するボンス:居場所というテーマを、反転した主の身体で描く巧い反証。
🌟 感想・考察
恋の再会を**“夢”という安全圏に置きつつ、現実では擬態する他者**を正面から突きつけましたね。特に“ボンソン”の場面は、外見=安心という前提を崩し、関係は合意と内実で成立するという本作の根幹を強調していました。
また、クラスメイトの温度に泣くボンスは、悪の単純化を拒む好例でした。居場所の記憶が、祓いと救済のどちらに傾くのか——ここからの舵取りが要です。
📂 まとめ
“彼女の顔の誰か”が歩き回る——この不穏を解く鍵は、夢の層で交わす真名と記憶の共有にありそうです。次回は、ソンアの器の限界とボンスを離す条件が具体化するはず。緊張は高いまま、物語は最終局面へ向かいます。
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