IMF危機の港を越えろ——人望と機転が道を開く。
「越えるたび、次の“山”が見える。」
1997年IMF危機の只中、テプン商事は安全靴の船積みで最大の難所に挑む。港に押し寄せる警察、揺らぐ交渉、そして予想外の“奇策”。放送は2025年11月1日(土)・tvN/Netflix同日配信。視聴率は全国8.2%・最高9.3%で同時間帯1位を記録した。
🎬 あらすじ(ネタバレあり)

安全靴の輸出が頓挫したテプンは、ミソンとともに遠洋漁船を使った“抜け道”に賭ける。船長はリスクを口実に難色を示すが、ホンシン商会の社長チャランが直談判に乗り出し、かつて“カエサル・カン”と呼ばれた父ジニョンの人望が後押しとなって態度が軟化する。さらに、シューズ工場の社長ユンチョルが「配送事故は自分が責任を持つ」と同乗を申し出て、交渉は実務レベルへと進む。積み込みでは市場の人々が手を貸し、蟹の箱に安全靴の箱を紛れ込ませる形で船倉に収めていく。
しかし出航の刹那、密輸通報を受けた警察が港へなだれ込み、船員の身元確認と捜索に取りかかる。追い詰められたテプンは給油船へ飛び移ると、小麦粉の袋を掲げて空中に撒き、麻薬に見せかける“陽動”で警官の視線と時間を奪う。その間に遠洋漁船は離岸に成功し、ユンチョルが積荷を託されたまま海へ出る。海に落ちたのではと錯覚するほどの騒ぎの中で、ミソンは救命具をつかんで海へ飛び込もうとするが、無事戻ったテプンを抱きしめ、胸を撫で下ろす。
輸送が無事に終わると、テプンは悪徳高利貸しリュ・ヒギュの前に堂々と現れ、現金1億ウォンを手渡して借用証を取り返す。今回の取引は黒字で着地し、1万ドルを超える利益も確保した。テプンは負債処理を終えるや否や次の商材探しに着手し、ユンソンの工場で生産中の「欧米1位を目指すヘルメット」を候補に挙げる。そして“人”も資産だとばかりに、家計の事情で離れていた元営業課長コ・マジンのもとを訪ね、真正面からの説得で復帰の糸口をつかむ。
帰路、ミソンのそばにいると心が静まると語ったテプンは、車内で「主任のこと、好きみたいです」と、飾らない言葉で想いを打ち明ける。唐突にも聞こえる率直さは、極限の現場をともに越えた二人の時間を根拠に、過剰な演出なしで物語の温度を上げていく。
👥 登場人物の動きと関係性
- カン・テプン:遠洋漁船の交渉・現場采配・“小麦粉の奇策”で臨検を突破。返済で負債を整理し、次の商材探索へ踏み出す。
- オ・ミソン:積載実務と現場判断を担い、危地から戻ったテプンを抱擁。告白を受け止め、関係性が一段進む。
- パク・ユンチョル:安全靴の“現地引き渡し役”に志願し、輸送のキーマンとなる。
- コ・マジン:テプンの説得に揺れ、営業要員としての復帰フラグを立てる。
- リュ・ヒギュ:港でテプンを追い詰めるも、金銭の利害から引き際を選び、因縁は継続。
🎯 名シーンと印象的なセリフ
- 港での“小麦粉ワンマンショー”:警察の目を一身に集めて出航の隙を作るテプン。大胆不敵さと瞬発力の象徴。
- ユンチョルの船出:安全靴の受け渡し役に自ら乗り込む決断が、仲間の“連帯”を可視化する。
- 車内の“直球告白”:「好きかも」と淡々と伝えるテプン。過剰演出を避けた“素の言葉”が二人の距離を縮めた。
📘 独自モジュール:1997年「金集め運動(金 모으기 운동)」の事実解説
1998年初頭、韓国は外貨不足を補うため、市民が保有する金を自主的に売却・寄付して外貨に換える「金集め運動」を展開した。参加者は約351万人、集まった金は約227トン、評価額は約20~21億米ドルとされる。運動はテレビ局や金融機関が連携して全国的に広がり、家宝や結婚指輪まで差し出す姿がニュースを通じて共有された。このキャンペーンは外貨調達の実益に加え、“国家的連帯”の象徴として強い記憶を残す。IMF支援の一部返済を前倒しで達成できた背景としても語られ、危機の只中にあった人々の心理と社会的結束を示す出来事となった。『テプン商事』第7話では、この当時性が背景の空気を支え、登場人物の選択と相互扶助のリアリティを補強している。
🌟 感想・考察
第7話は、商社ドラマの肝である「現場の判断」と「交渉の胆力」を一気に見せる回でしたね。小麦粉という“日常の物”を逆手に取った攪乱は、法とリスクのグレーを突きながらも、人を動かす度胸と瞬発力を鮮やかに可視化していました。
一方で、成功の陰に“連帯”があることを丁寧に描いたのも好印象です。ユンチョルの船出はもちろん、積み込みに協力する市場の人々や、父の人望に支えられた交渉の連鎖が、1997年当時の社会空気と響き合います。
テプンの告白は、Kドラマとしては控えめな言い回しでしたが、むしろここが魅力でした。過剰な演出に頼らず、関係の蓄積から自然にこぼれる言葉として機能しており、ミソンの体温のある反応が物語の“次”を期待させます。
さらに、負債の清算を“逃げずにやり切る”描写は、次の商材=ヘルメットへの布石として説得力がありました。商機と倫理、スピードと慎重さのバランス感覚が、第8話の海外展開(タイ)へと滑らかにつながっています。
📂 まとめ
港の臨検を越えるための奇策と、仲間の決断が一体となって“ありえない”を現実に変えました。ここで示したのは、テプン個人の才覚だけでなく、関係資本が積み上がることで開ける突破口です。
ロマンス面では、直球の一言が物語の温度を上げました。大仰な演出に頼らず関係の段階を踏むことで、第8話以降の軸足も安定してきます。
そして視聴率が示す通り、作品は確実に上昇気流に乗っています。第7話は“危機の時代にビジネスを動かすとは何か”を、娯楽性と現実感で両立させた好回でした。
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