嵐の季節、会社も家族も守り抜く。
1997年の韓国を襲ったIMF危機。その嵐の中で、遊び人だった青年が突然父の貿易会社の社長に就任し、仲間と共に荒波に立ち向かう姿を描いたヒューマンドラマが「テプン商事」だ。華やかな狎鴎亭(アックジョン)で自由奔放に生きていた主人公が、社員の生活を背負う社長に変貌する姿は、当時を知らない世代にも共感を呼ぶ。
韓国のtvNで土曜・日曜のゴールデンタイムに放送され、日本ではNetflixを通じて世界同時配信されているこの作品は、IMF危機の記憶や家族愛、仲間との絆を丁寧に描き出す。時代背景の再現度の高さやキャストの熱演が評価され、公開直後から話題を集めている。
作品データ

配信形態
韓国ではtvN土日ドラマとして放送、Netflixでは「Netflixシリーズ」として世界配信。スタジオドラゴンが企画し、CJ ENMが参加している。
話数/公開年
全16話予定。2025年10月11日放送開始。
放送局/配信プラットフォーム/制作会社
tvN、tvN STORY、tvN DRAMAほかで放送。日本ではNetflixが配信。制作会社はイマジナス、Studio PIC、Tree Studio、スタジオドラゴンなど。
原題・英題・ジャンル・年齢区分
原題は「태풍상사(テプン商社)」、英題は「Typhoon Family」または配信初期タイトル「Typhoon Boss」。ジャンルはヒューマンドラマで、ロマンチック要素を含む。Netflixのレーティングは13+。
主要キャスト(役名/俳優名)
カン・テプン/ジュノ – 会社を継ぎ社長として成長する自由奔放な青年。
オ・ミソン/キム・ミンハ – テプン商事の経理担当。家族を支える長女で、テプンに商社の基本を教える。
ワン・ナムモ/キム・ミンソク – テプンの親友で、彼の成長を支える。
チャ・ソンテク/キム・ジェファ – 総務部長。
コ・マジン/イ・チャンフン – 営業部長。
ペ・ソンジョン/イ・サンジン – 物流担当。
ク・ミョングァン/キム・ソンイル – 専務。
カン・ジニョン(特別出演)/ソン・ドンイル – テプンの父でテプン商事の創業者。
ジョン・ジョンミ/キム・ジヨン – テプンの母。
オ・ミホ/クォン・ハンソル – ミソンの妹。
あらすじネタバレ
1997年、韓国経済は深刻なIMF通貨危機に見舞われていた。狎鴎亭で華やかな遊び人として知られていた大学卒業間もないカン・テプンは、貿易会社「テプン商事」を創業した父カン・ジニョンから勘当同然にされている。しかし、その父が会社の危機を乗り切るために無理な投資を強行し、過労とストレスで倒れてしまう。テプンが病院で父を看取っている間に国の支援要請が発表され、韓国社会全体がパニックに陥る。父の死後、テプンは遺言に従い、従業員の誰もいない会社を継ぐことを決心する。
会社に足を踏み入れたテプンを迎えたのは、借金取りからの督促状と止まった電話線だった。経理担当のオ・ミソンが唯一残った社員で、彼女は厳しい口調で会社の現状を説明する。ミソンは長時間労働で家族を養う責任を負っており、ミソンの妹ミホもまた夢を諦めざるを得ずにいる。父が残した鍵を使って会社の金庫を開けると、ジニョンが従業員名義で預金を積み立て、息子には「人を大切にしろ」というメッセージを残していた。このことがテプンに責任感を芽生えさせ、彼は遊び人の生活を捨てて社長としての自覚を持つようになる。
第2話では、テプンが会社再建の第一歩として物流現場を訪れ、物資の流れが滞っている現状を確認する。営業部長のコ・マジンや総務部長のチャ・ソンテク、専務のク・ミョングァンらが戻ってきて、彼らの経験とネットワークを活かして取引先の信用を回復させようと奔走する。テプンの親友ワン・ナムモは、軽い性格ながらも彼の不器用なリーダーシップを支え続ける。ライバル会社「表商船」を率いるピョ・ヒョンジュンはテプンに冷徹な現実を突きつけるが、テプンは社員と協力して運送トラックの横流しを阻止し、少しずつ成果を上げていく。
以後も、危機を抱えた貿易会社を巡る様々な出来事が描かれる。テプンはオレンジ族と呼ばれた青春時代の仲間たちと決別し、社長としての責任を果たすために奮闘する。ミソンはテプンに経理や貿易の基礎を教えながら、家族を支える長女としての葛藤も抱える。二人の間には同志的な信頼関係が生まれ、淡い恋愛感情も漂うが、物語は恋愛よりも「生き抜くための連帯」を強調する。社員たちの過去や家族の物語が挿入され、彼らが会社と共に再生していく姿が描かれる。
登場人物の動きと関係性
カン・テプン
遊び人から社長へと変貌。父の残した預金通帳と手紙に心を打たれ、社員と会社を守る決意を固める。親友ワン・ナムモや社員たちと共に危機を乗り越えるなかで、リーダーシップと責任感を身につける。
オ・ミソン
経理担当であり長女として一家を支える。厳しくも誠実な彼女は、テプンに業務の基礎と職業倫理を教え、彼が社長として成長する大きな支えとなる。ミソンの妹ミホとの姉妹愛も描かれ、家庭の事情が仕事に影響する場面もある。
ワン・ナムモ
テプンの悪友として登場するが、テプンの新たな挑戦を陰ながら支える。軽薄に見える言動の裏には友情があり、テプンに活力とユーモアをもたらす。
コ・マジン / チャ・ソンテク / ク・ミョングァン / ペ・ソンジョン
テプン商事のベテラン社員たち。IMF危機で一度は会社を離れるが、テプンの誠意に心を動かされ復帰し、各部門で尽力する。彼らの経験が会社再建の鍵となる。
カン・ジニョン
創業者でテプンの父。息子に厳しく接しつつも、長年にわたって従業員への預金を続けるなど家族と社員を深く愛していた。彼の死と遺言が物語の出発点となる。
6) 見どころと注目ポイント
① 1997年を“体温”ごと再現する時代考証
当時の字幕フォント、ポケベル数字、テープ、シティフォン、公衆電話…細部の積層で没入感を形成。視聴後レポートでも時代再現の精度が強調される。
② 「遊び人→経営者」へのハードランディング成長譚
狎鴎亭の“ナラリ”だったテプンが、父の死と倒産危機を契機に現場で学び、判断する人間へ変貌。導入の高低差が毎話の推進力に。
③ 経理・物流の“汗のディテール”
帳簿・与信・出荷停止など、抽象化されがちな商社の仕事を具体的アクションで描写。トラック阻止の場面は象徴的。
④ 主演2人のコントラストと演技評
イ・ジュノの躍動と、キム・ミンハの堅実な眼差し。初動評は二人の相性と没入感を評価。
⑤ 週末編成×Netflixの“二層動線”と好発進
tvN土日21:10の本流編成に加え、Netflix世界同時配信。初回は全国5.9%/最高7.1%、第2話は全国6.8%/最高7.5%(各社報道ベース)。
感想・考察
本作については、まず“1997年の空気をどう映すか”という点に期待が高まります。公式情報や素材を見る限り、職場・家庭・街のディテールまで時代感を丁寧に積み上げる姿勢がうかがえますよね。ヒーロー的な派手さではなく、帳簿や与信、物流といった現実の作業を通じて人間関係が動く――そんな“働く人の物語”として、視聴後に手触りが残るタイプだと感じます。
もう一点、主演二人のコントラストが作品の温度を決めそうです。軽やかな推進力を持つ若きトップと、地に足の着いた視線で現場を支える実務家。その交差点に“同志的な信頼”が立ち上がる構図が示されており、ロマンスに寄りかかり過ぎないバランスが好ましい印象です。週末の編成とグローバル配信の掛け合わせも相性が良く、毎週の余韻と話題性を両立できる設計に期待しています。
まとめ
ご覧になる際は、まず“時代の温度”と“現場の具体”に目を向けてみてください。道具立てや段取りの一つひとつが人物の価値観と直結し、物語の芯に通じていくはずです。加えて、二人の視線の交差――決断と根拠が噛み合う瞬間――を追うと、ドラマがぐっと立体的に見えてきます。
視聴の入口としては、初回から示されるであろう“会社をどう守るか”という問いを軸に、人物間の距離の変化を静かに味わうのがおすすめです。毎話の終わりに残る小さな余韻を重ねていくと、週末の楽しみが自然と習慣になっていくと思います。
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第1話あらすじ → 韓国ドラマ テプン商事 第1話 あらすじネタバレ
登場人物のまとめ → 韓国ドラマ テプン商事キャスト&相関図
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