📝 真相の扉 ― 明かす勇気、守る優しさ
「ボンスが出ない」=完全乗っ取りの現実と、丑の刻だけ本人と通じ合える“会話窓”という希望が同時に提示される回です。過去に置き去りにされた銀の指輪、ヨムファの死神召喚、そして霊母トンチョンの犠牲へ——恋と怪異の物語が一段深い層へ潜っていきます(視聴率は全国4%台後半)。
🎬 あらすじ(ネタバレあり)

ギョヌの身体を得たボンスは、「もう自分は出ていかない」と宣言し、周囲の好感を逆手に取るように教室でソンアへの**“キス宣言”までやってのける。ソンアはその軽やかさの裏に滲む“孤独”を見逃さず、本人(ギョヌ)に届く時間を探る。花堂の長の助言はひとつ——“丑の刻”なら会える**。短い“会話窓”のあいだ、ソンアはギョヌに「ボンスの記憶にいる兵士たちと仲良くなって」と託す。彼の中の“過去”に寄り添って、帰る道をつくるためだ。
やがてボンスは、自分が抱える未了の罪責を語る。戦時下、学徒兵の友ヨンボから託された銀の指輪を母に返せなかったまま死地をさまよい、彼の墓所を前にしても指輪を土に埋めるしかなかった——その悔恨。ソンアは、その記憶に触れることが“手がかり”になると確信する。
一方のヨムファは外からの揺さぶりを強める。花堂の長を酒で酔わせ護符を奪い、さらにジホを言葉巧みに巻き込み、埋めたはずの銀の指輪を掘り出させる。そして躊躇なく指輪を破壊。この瞬間、禁忌の回路が開き、**死神(冥官)**が呼び出される。
ソンア側は陽動と隠匿で対抗する。トンチョン(霊母)と“グレイト・アント”はボンスの位置を隠しつつ、死神の追跡を誤誘導する二段構え。だが夜が更け、境界が薄くなるほど、死神の“嗅覚”は鋭くなる。追い詰められた刹那、トンチョンが身を投げ出してヨムファを庇う。彼女がヨムファに渡していたスカーフこそ御守りであり、トンチョンはずっと“ヨムファの人間お守り”だった事実がここで明かされる。慈悲は、執着よりも強い——しかしその代価は、あまりに重かった。
夜明け前、静まり返った場所に、取り返しのつかない空白だけが残る。丑の刻の“会話窓”はまだある。ソンアは震える手を握り直し、ギョヌとボンス、そしてヨムファの“未了”を解くための次の手を考え始める。指輪は砕かれ、死神は現れた。それでも、帰り道はまだ閉じていない。
👥 登場人物の動きと関係性
- ソンア(チョ・イヒョン)
丑の刻の“会話窓”でギョヌに接続。ボンスの未了(学徒兵と銀の指輪)へ踏み込み、陽動作戦の現場指揮にも関与。 - ギョヌ/ボンス(チュ・ヨンウ)
表では軽やかに周囲を翻弄、裏ではヨンボの指輪にまつわる罪責と向き合う。「出ない」宣言で主導権を主張。 - ヨムファ(チュ・ジャヒョン)
護符奪取→指輪破壊→死神召喚で外圧を最大化。守られてなお執着を選ぶ。 - トンチョン(霊母/キム・ミギョン)
ヨムファの“人間お守り”であったことを示し、最期は身代わりの犠牲。 - ジホ(チャ・ガンユン)
善意から指輪の在処に関与してしまい、結果的に召喚の引き金に。 - 花堂の長/グレイト・アント
丑の刻の運用を助言。布陣・結界・陽動で後方支援。
🎯 名シーンと印象的な要素
- 教室の“キス宣言”:憑依者が人間の顔で世界に割り込む不穏。
- 学徒兵の墓で“銀の指輪”を土へ返す:未了と悔恨の中核。
- 指輪破壊→死神召喚:ルールが噛み合う瞬間の高揚と恐怖。
- 霊母のスカーフ=御守り:**慈悲は常に“誰かのための選択”**であると示す一枚。
🌟 感想・考察
「守り=関係性」を最も鮮明に描き出していましたね。トンチョンがヨムファの“人間お守り”であったという構図は、善悪の単純化を拒み、依存と慈悲、執着と救済の線を重ねて見せます。
また、丑の刻の“会話窓”という設計は、超常のルールを恋の装置へと巧みに接続しており、ソンアが“過去と仲良くなる”手をギョヌに託す場面は、解決が対話と理解の積み重ねであることを教えてくれます。
📂 まとめ
銀の指輪が砕かれ、死神が現れ、そして霊母の犠牲が残った——痛みの夜でした。それでも、丑の刻という細い回線が、二人に残された帰路を指し示しています。ここからは、ボンスの未了をどう弔い、“出る(離れる)”条件をどう整えるのか。次回の焦点はそこに集約されるでしょう。
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