📝 星の夜に願う ― 交差する祈りの先で
憑依という最大の脅威が二人の距離を逆説的に縮める回です。ギョヌに取り憑いた“ボンス”が引き起こす危機の連鎖、手をつないだまま一晩を過ごす封印作戦、そしてヨムファの妨害──。恋と呪いが真正面からぶつかり、ソンアとギョヌの関係に「守るとは何か」という答えが輪郭を持ちはじめます。
🎬 あらすじ(ネタバレあり)

廃屋の“再封じ”に挑む夜、準備を進めていたソンアと一行の前で、ギョヌが不意に**悪霊「ボンス」**に取り憑かれる。声色と眼差し、身振りの軽さまですべてが変わり、彼はソンアをからかうような口調で近づいては距離を取る。ソンアが手を伸ばすと、指先が触れた一瞬だけギョヌ本人の意識が戻る。ソンアはその“戻る瞬間”を唯一の手掛かりに、彼を現実へ引き留めようと必死で呼びかける。
ボンスは結界の弱点を嗅ぎ分けるかのように揺さぶりをかけ、灯りが揺れ、 talisman(護符)がはらりと剥がれるたび、空気の温度が下がる。ソンアは天地仙女としての作法よりも、素の声でギョヌの名を呼ぶことを選び、触れて、離れて、また触れて——短い“正気の瞬間”を積み重ねていく。
ドンチョンたちは状況を見極め、通常の祓いでは持たないと判断。「神聖な部屋」に二人を入れ、夜明けまで“手をつなぎ続ける”封印へ切り替える。部屋の中央に線香と護符が配され、外側では結界の補修が続く。ソンアはギョヌの手を握り、一定のリズムで呼吸を合わせる。指がわずかに握り返されるたび、ボンスの圧が弱まるが、油断するとすぐに逆流する——緊張の綱引きが続く。
夜更け、ボンスはギョヌの記憶をなぞるような言葉でソンアの心を折ろうとする。「彼は孤独が似合う」「君が離せば楽になる」——甘さと残酷さが入り混じる囁きに、ソンアの掌は汗ばみ、呼吸が乱れる。それでも彼女は「帰ってこられる」と繰り返し、手の温度だけは絶対に下げない。やがて、ギョヌの視線が“こちら側”に長く留まる時間が、ほんの少しずつ伸びていく。
外では、結界の外周で揺さぶりが続く。誰かが“外から穢れを育てている”気配が濃くなり、ドンチョンは補強の護符を重ねる。室内では、ソンアが「離さないで」と囁くたび、ギョヌの指が確かに応える。しかし、ボンスは最後のあがきで体を弾かせ、二人の手をこじ開けようとする。ソンアは自分の恐れも正体も包み隠さずに、「怖くても平気。私が一緒にいる」と言い切り、再び手を重ねる。
明け方、結界の波が静まり、一時的な封印が成立する。膝をついたギョヌはかすれ声で「守りたかったから来た」とだけ告げ、ソンアは頷く。二人は言葉を多く交わさない。けれど、その沈黙は断絶ではなく、**“次に備える合図”**になっている。
夜が明け、ボンスは消えていないこと、そして揺さぶりの“出所”がまだ外にあることがはっきりする。ソンアは結界跡を点検し、手に残る温度を確かめるように指を握り直す。ギョヌは小さく礼を言い、視線を合わせる。守りの条件は、術よりも二人の合意と手の温度——そう確かめ合いながら、第7話は次の対峙への静かな緊張を残して終わる。
👥 登場人物の動きと関係性
- ソンア(チョ・イヒョン)
“手”を媒介にギョヌを現実へ引き戻す。術よりも素の言葉と温度で封印を成立させる姿が象徴的。 - ギョヌ(チュ・ヨンウ)/ボンス
憑依に翻弄されつつ、ソンアの接触で“瞬間的に戻る”反応を示す。夜明けの一言が、関係の再始動を示唆。 - ドンチョン/花郎総管/支援者
封印の段取りと結界の運用を担当。通常手順が通じない局面で、一晩“手つなぎ”封印という異例の戦術を提案・支援。 - ヨムファ
直接の乱入は最小限ながら、外側からの揺さぶりで儀式を不安定化。出所の線と重なる“外圧”として機能。
🎯 名シーンと印象的なセリフ
- 手つなぎの封印
ロウソクの火と呼吸音だけが残る静かな部屋で、指を絡めた瞬間に結界の波が落ち着く描写が秀逸。 - ボンスの挑発
「ぼくのほうが彼女が好きだ」──悪霊らしからぬ軽さが、逆に怖い。愛と呪いが同じ舞台で踊る瞬間。 - 夜明けの一言
「守りたかったから来た」──短い告白が、二人の“次”を決定づける。
🌟 感想・考察
“守りの条件は手の温度”であることを、物語の中心に据えていましたね。呪術の大技ではなく、触れて呼ぶという最小の行為が最大の効き目を持つ構図は、本作らしい優しさだと感じました。
また、ボンスの言動が“悪”の単純化を拒み、恋の領域まで踏み込んでくる演出は非常にスリリングです。ヨムファの外圧と“禁忌の家”の出所線は、次回以降の対決構図をより立体的にしてくれそうです。
📂 まとめ
憑依という最大の危機を前に、二人は手を離さないというシンプルな方法で夜を越えました。これが一時的な封印に過ぎないとしても、信頼を“感覚”で回復する大きな一歩でしたね。次回は、外から続く揺さぶりの正体にどこまで肉薄できるか、注目してまいりましょう。
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