食卓に灯る希望――親子三代のすれ違いと小さな奇跡
第9話では、エスンたち家族の新生活と、娘クムミョンの恋愛と自立のドラマが交差します。狭いアパートに引っ越した済州島の家族と、ソウルでの新たな出会いやすれ違いに揺れる娘。時代と場所を越えて、それぞれの“今”を生きる姿に、胸を締めつけられるような共鳴が描かれます。※ネタバレを含みます。
🎬 あらすじ(ネタバレあり)

エスン、グァンシク、ウンミョンの3人は、娘クムミョンの留学費用を捻出するため、狭く古いアパートに引っ越す。エスンが結婚祝いで買った螺鈿のタンスは、玄関のドアの前にしか置けなかった。
壁は剥がれかけていたが、グァンシクが花柄の壁紙を貼って手を入れた。「今、笑えることが一番の幸せだ」とエスンは言った。
エスンは海女仲間チュンスたちが始めた刺身店の手伝いをするが、自らは名を連ねなかった。店の名前は“スンと3人のおばさんの刺身店”ではなく、“3人のおばさんの刺身店”としてスタートした。
一方、息子のウンミョンは反抗期真っ只中で、エスンとグァンシクを悩ませていた。ある日、彼女を家に連れ込んでいるところを見つかりそうになり、とっさに衣装ケースに隠す。中を開けると、出てきたのは女の子だった。その名はプ・ヒョンスク。なんと、エスンの因縁深い相手サンギルの娘だった。
ソウルでは、日本留学を終えたクムミョンが一人暮らしをしていた。下宿先の娘・ブソンが彼氏のチュンソプを家に連れ込み、父親に見つかって怒られる場に居合わせる。実は、チュンソプはかつてクムミョンが衣装ケースにかくまってあげた相手だった。
チュンソプは画家として映画のポスターを描いており、クムミョンに映画館のチケット売りのバイトを紹介する。だが、ブソンは二人の関係を誤解し、クムミョンに冷たく当たるようになる。
チュンソプはクムミョンに恋心を抱くが、ある日、兵役を終えて戻ってきたヨンボムがクムミョンのもとを訪れる。ヨンボムの突然の登場に、チュンソプは動揺し、クムミョンの心も揺れ動いていく。
👥 登場人物の動きと関係性
- エスン:狭いアパートに引っ越し、思い出の家具を手放しながらも家族と笑顔を守ろうとする。
- グァンシク:古びた部屋に花柄の壁紙を貼り、家庭の温かさを取り戻そうとする。
- ウンミョン:反抗期で親を困らせるが、恋をし、衣装ケースに彼女を隠すという騒動を起こす。
- プ・ヒョンスク:ウンミョンの彼女で、なんとサンギルの娘。エスンにとっては複雑な関係性。
- クムミョン:チュンソプと再会しバイトを始めるが、過去の恋人ヨンボムの帰還により心が揺れる。
- チュンソプ:クムミョンに好意を寄せており、彼女をバイトに誘う。三角関係が始まりつつある。
- ブソン:クムミョンの下宿先の娘。チュンソプとの関係に誤解が生じ、嫉妬心を抱く。
🎯 名シーンと印象的なセリフ
- 「家はどうでもいい。嫁ぎ先でも借家でも幸せだった。あなたがいたから」
→ 引越し後のエスンの言葉。物の価値よりも、共に生きる人との時間を大切にする心がにじむ。 - 「子供ってのは気楽な相手だろ。でも雑にするな。子供は意外と傷つきやすいんだから」
→ チュンスがエスンに語った、親としての在り方を諭す一言。 - 「静かにしろ。バレたら死ぬ」
→ ウンミョンがヒョンスクを衣装ケースに隠したときの緊張感とコミカルさが光るシーン。 - 「これは声なき叫び。あの海に振る 永遠なるノスタルジアのハンカチ」
→ 若き日のグァンシクがエスンに詠んだ詩。現在の息子の騒動と対比され、時の流れを感じさせる。 - 「彼女はソウル大よ。あんたとは違う」
→ クムミョンへの嫉妬を露わにするブソンの言葉。恋愛と学歴、階級の壁が表出する場面。
🌟 感想・考察
過去と現在、親と子、恋と家族といったテーマが多層的に交錯したエピソードでした。エスンとグァンシクは、新しい生活に不安を抱えながらも笑顔を忘れず、家庭の灯を守ろうとする姿が胸を打ちます。
一方、クムミョンの物語では、「誰かの夢を奪わない」という決意と、恋愛や人間関係のすれ違いに心を揺らす若者のリアルな感情が描かれました。
印象的だったのは、衣装ケースに“誰かを隠す”という過去と現在の繰り返しです。グァンシク、クムミョン、ウンミョン、そしてブソン――異なる世代が同じような葛藤を経験しながら、少しずつ成長していく。その過程はまさに「風は鳴り、心は響く」ように、静かで確かな変化を描いていました。
📂 まとめ
親子それぞれが“新しい始まり”を迎えました。古い家を出て狭いアパートに住むこと、新しい恋や友情に出会うこと、失敗して傷つくこと――そのすべてが、人生の音色となって、登場人物たちの心を育てていきます。感情の綾を丁寧に描いた、温かくも切ない一話です。
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